ルチルを包有物としている水晶を、ルチルレイテッド・クオーツと言います。
ラテン語で燃えるようなという意味の「rutilis」=ルチリスに由来して、ルチルと名づけられました。
このルチル部分は、鉱物はもともと色を持っておらず、鉄分で黄色に、マンガンや鉄分で褐色味を帯びます。
ルチルは、柱状の結晶をなし、双晶をつくりやすため、V字型や太陽のように放射状形になったりします。それが取り込まれた水晶を、ルチルレイテッド・クオーツ=ルチルクオーツと呼びます。
水晶は他の鉱物を非常に多く含むことで知られますが、通常多く見られるものは、ルチルやトルマリン、ゲーサイト(針鉄鉱)、パイライト(黄鉄鉱)、アンフィボール(角閃石)、パイロクシン(輝石)、マイカ(雲母)、クローライト(緑泥石)などがあります。
それらの中でも「ルチル入りの水晶」は、ルチル自体の強い輝きで古くから知られ、金運や財運の色として愛好されてきました。色が金色に近く、水晶部が透明なほど高価で、特にアジアでは絶大な人気がございます。
しかし、宝石として正式に用いられるようになったのは近年のことです。
ルチルを内包している水晶の色は無色かスモーキークオーツで、針入り水晶や金線水晶などと呼ばれます。
|
双晶を繰り返した
放射状形の太陽ルチル
|
取り込まれているルチルの形状によって様々な、愛称があり、「ラビットヘア」「ヴィーナスヘア」「タイチン」などと呼ばれます。
ルチルには金、赤、一見黒いものなどがあり、強い光に透かしてみると濃い赤色であるものなどがあります。
水晶の中に入ってる針状のものは、必ずしもすべてルチルではなく、黒い針のものは、トルマリンであることが多く、グリーンやブルー、レッドなども、それぞれルチルではないものです。
ルチルクオーツは時に、使用していても、いなくても、次第に針の色が変化することがあります。
それは、磨いた際、露出している針の両端部分から酸化するためで、金色が赤っぽく、また赤色が金色に変化することもあります。
このことから、特殊な装置を用いて、圧力を加え、針の結晶内部に着色したものも存在します。
需要が高まれば、あるいは高価であるものほど、偽装は増え、時代時代の状態によって、人工的な手が加えられるのは宿命のようです。
|
|
|